【動物のビッグ5とは?】其の① - サイ 「ツノの正体は?」

 

サイのイラスト

Illust: イラストAC

みなさん「ビッグ5」って知ってますか?心理学用語や性格診断などでも使われており、その他様々な分野でビッグ5とかビッグ3というワードが使われていますね。しかし、今回のシリーズ記事で紹介したいのは「動物のビッグ5」です。全5回の1回目は「サイ」です!興味がある方は是非ご覧ください。

 

「動物のビッグ5」とは?

アフリカに生息する5大動物のことを言います。昔、アフリカで人々が狩猟ゲームを始めた時代に最も大きく、危険で、憧れの動物であった「サイ、ゾウ、ライオン、バッファロー、ヒョウ」たちのことを総称して「ビッグ5」と名付けました。現在もアフリカのサファリではこの名残で人気動物の通称として使われています。

動物のビッグ5

Illust: Fotolia


サイ - Rhino(白サイ:準絶滅危惧 NT  / 黒サイ:絶滅危惧IA類 CR)

 

  • 世界中に現生するサイ(哺乳類・サイ科)は、シロサイ、クロサイ、インドサイ、スマトラサイ、ジャワサイの全5亜種で、ビッグ5のサイはアフリカに生息するシロサイとクロサイです。


  • シロサイの名前の由来は、彼らの特徴的な口幅が広いことをアフリカーンス語でwijde(幅広い)が英語のwhite(白い)に間違って英訳され、White rhinoceros(シロサイ)と命名されたそうです。

    クロサイは、単純にシロの対象色がクロだから、Black rhinocerosクロサイ)になったようです。

 

  • 体長は3~4m、体重は2~4トンほどで、陸上哺乳類の中ではアフリカゾウに次ぎ大きな動物です。寿命は野生下で25~30年、飼育下で35~50年ほどです。

 

  • 過去10年間の密漁で「年間平均800頭」や2013年に至っては「11分に1頭」の割合で尊い命が奪われた記録もあります。現在でも「1日2頭」は同様の被害に遭っているようです。

    これらの背景にはアフリカでの貧困・紛争問題もあり、サイの角一本「約2千万円以上」で取引されるため、密猟者にしてみれば他の仕事よりおいしいビジネスになるからだそうです。

    近年、サイの角の消費量が高い国は中国とベトナムですが、なんと!1980年までは「日本が世界一の消費国」でした。他人事のように遠いアフリカの出来事でしょ?とは言えませんね。

    約100年前には約50万頭も生息していたアフリカのサイたちは、残念ながら現在は「シロサイ約2万頭、クロサイ約4千頭」しか生息していません。そんな中でも関係者の努力の末、少しずつですが増加傾向に転じているようです。

 

  • サイのヨロイのように堅牢な皮膚は動物の中で最も硬く、コラーゲンがミルフィーユのように層をなしてカチカチになっています。部位により厚さ最大5㎝もあり、肉食獣の牙や爪もそう簡単に貫通させることはできません。体毛はなく褐色の肌をしています。

    サイの写真

    Photo: 写真AC


  • 象徴的な角は1~2本生えており、骨のように見えますが、実は人で言う「爪・髪・イボ・皮膚と同じ」角質成分(タンパク質 / ケラチン等)で出来ているため一生伸び続けます。

    ネコ科の動物が爪を研いだり、武将や料理人が仕事道具の刃物を研ぐように、サイたちもまた角のメンテナンスをします。樹木や岩場にこすりつけて、日々磨きをかけて好みの形に仕上げています。

 

  • 工芸品や医薬品として密漁のターゲットにされるこの「角」ですが、現在もアジアの一部では薬理効果があると信じられており、漢方薬などへの需要があります。※ 科学的に効果のエビデンスは無いとされています。

    前述したように、サイの角は爪や髪と同じく、また伸びてくることから、動物保護施設やレンジャーたちは、サイを密猟者から守るため、あえて角をカットして密漁させないようにすることもあります。

    100歩譲って角だけカットするならまだしも、密猟者たちは角の根本からえぐり取っていくため彼らの命まで奪っていきます。殺した方がカットするのに手っ取り早いという、単純かつ利己的な発想からでしょう。

 

  • 夜行性だからか?サイの弱点は視力がとても弱いことです。逆にそれを補うために嗅覚と聴覚は優れており、ラッパのような耳は360度回転して、風の音や遠くの物音も聞き分けるようです。

 

  • 基本は単独行動で、あまり群れを作りませんが、子供と母親が一緒にいたり、若いメスたちが一時的に群れている光景はみられます。また、草食性のため主食は草や枝、果実などを好んで食べます。


  • 9月22日は「世界サイの日」:密漁や生息地減少で絶滅の危機に瀕しているサイの保護を訴えるため、2010年にWWF世界自然保護基金 / World Wide Fund for Nature)の南アフリカ委員会にて制定されました。

 

 


「動物のビッグ5」のまとめ (サイ)

レッドリスト 白サイ:準絶滅危惧 NT / 黒サイ:絶滅危惧IA類 CR
亜 種 インドサイ、スマトラサイ、ジャワサイを含む全5亜種
体長 / 体重 3~4m / 2~4tほどで、陸上哺乳類でアフリカゾウに次ぐ大きさ
寿 命 野生: 25~30年 / 飼育: 35~50年
密漁被害 過去10年「年間平均800頭」/ 2013年の単年は「11分に1頭」 / 現在も「1日2頭」
角の消費国 主に中国とベトナム(1980年までは「日本が世界一の消費国」)
生息数 シロサイ約2万頭 / クロサイ約4千頭
皮 膚 動物の中で最も硬く、コラーゲンがミルフィーユのように層をなし、部位により厚さ最大5㎝
角の成分 骨では無く「爪・髪・イボ・皮膚」と同じ角質成分(タンパク質 / ケラチン等)のため一生伸びる / ※科学的に漢方薬効果のエビデンスは無い
特 徴 草食性 / 単独夜行性 / 視力がとても弱い / 嗅覚と聴覚は優れており耳は360度回転して風の音や遠くの音も聞き分ける
記念日 9月22日「世界サイの日」
紙幣モデル 南アフリカの10ランド
その他 シロサイの由来は口幅が広いことをアフリカーンス語のwijde(幅広い)が英語のwhite(白い)に誤訳。クロサイはシロの対象色がクロだから/ 角を自ら樹木や岩場にこすりつけてメンテナンスしている / 密漁取引:角一本「約2千万円以上」


いかがでしたか?「動物のビッグ5」の初回はサイでした。彼らの驚異的な身体能力や生態が少しは伝わったでしょうか?

 

動物園や各メディアで何となくビジュアルだけは知っていたという人も、今回、みなさんがこの記事を読んで、動物のビッグ5「サイ」たちや彼らを取り巻くこの地球の気候変動・環境問題などにも興味関心を持っていただけたなら幸いです。

 

チャンスがあれば是非、野生の王国アフリカに行ってリアルなサイたちに会いに行ってみてください!次回、2回目の「アフリカゾウ」も是非みてください。以上、最後までご覧いただきありがとうございました。

【 過去記事リンク集 】

 

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サイのイラスト

Illust: シルエットAC